アップルのAIスピーカー「HomePod」は、価格のわりに「パンチ不足」だ:『WIRED』UK版ミニレヴュー

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アップルのスマートスピーカー「HomePod」の予約受付が米国、英国、オーストラリアで始まった。この人工知能(AI)に対応したスピーカーを『WIRED』UK版が発売前にいち早く試したところ、デザイン性に優れるものの、音質には課題も見えてきた。

TEXT BY JEREMY WHITE
EDITED BY CHIHIRO OKA

WIRED(UK)

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PHOTOGRAPH COURTESY OF APPLE

当初の予定よりかなり遅れたが、音声アシスタント「Siri」に対応したアップルのスマートスピーカー「HomePod」の予約受付が米国、英国、オーストラリアで始まった[編註:日本での発売時期は未定]。しかし実際の性能はどうなのだろう? 『WIRED』UK版は発売前にこのスピーカーを試す機会を得た。

HomePodはアマゾンの「Echo」やグーグルの「Google Home」の競合となるデヴァイスで、昨年6月に開かれたアップルの開発者会議「WWDC」でお披露目された。色はホワイトかスペースグレーで、価格は349ドル(約38,000円)だ。

既存製品と競うために、アップルお決まりのミニマリスト的デザインが採用されている。これによって競合としてグーグルやアマゾンだけでなく、「Alexa」に対応した「Sonos One」といった製品も視野に入ってくる。

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PHOTOGRAPH COURTESY OF APPLE

セットアップはシンプル

大きさは高さ17.2cm、重さ2.5kgで、「Apple A8」チップを搭載。音響信号の処理や音の出る方向を調整するビームフォーミング、エコー除去といった機能を備える。

この分野の製品では一般的になってきたが、HomePodは部屋の中で自分の位置を把握し、それに合わせて音を自動調整する。スピーカーの置き場所を変えるとセンサーが動きを感知し、ロケーションプログラムが再び起動するようになっている。電源プラグを抜いても同じだ。

小さなボディにはビームフォーミングの可能なツイーター(高音用スピーカー)が7個と、サブウーファーが詰め込まれている。内臓マイクは6個あり、音楽をかけているときでも離れたところからSiriに命令できる(これはわたしたちのデモでも証明された)。セットアップは非常にシンプルで、iPhoneをHomePadに一瞬近づければ、あとはアプリ経由で細かい設定をすればいい。

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PHOTOGRAPH COURTESY OF APPLE

音の評価は…何かが足りない

では、音はどうだろう? まずはアリアナ・グランデの「Side to Side」を聞いてみる。すぐに気づくのは、低音の素晴らしさだ。部屋を歩き回ってもサウンドは一定で、これがビームフォーミングツイーターのおかげなのは疑いの余地がない。ヴォーカルもとても聴き取りやすい。

しかしいいニュースばかりではない。中音が明らかに不足しているために、全体として何かが失われている感じが残るのだ。

次はグレゴリー・ポーターの「Holding On (feat. Kem)」だ。やはり高音は素晴らしく、フィンガースナップは鮮明、リヴァーブも正確で、ヴォーカルは特にクリアによく再現されている。

しかしミュージカル『ハミルトン』の「My Shot」や、『アナと雪の女王』の「Let It Go」を聴くと、またもや高音や低音と比べて中音が劣っているように感じてしまう。サウンド再生にあるべき力強さが欠けているのだ。アップルのスピーカーなら「Let It Go」のように有名なナンバーでも曲負けすることはないと期待していたのだが、今回のデモではそうはいかなかった。

それでも、トム・ペティの「I Won’t Back Down」では再び希望が見えてくる。これはほかの曲よりだいぶ古い録音だが、なぜか音のバランスがとれているように聞こえる。低音が少し欠けているのだが、奇妙なことに全体的にはこちらのほうがいい感じなのだ。

最後はエド・シーランの「Shape Of You」だが、これもたくさんの課題があったこれまでの曲よりははるかにいい。しかし、この曲は高温に偏りがちなので、HomePodと相性がいいのは当然かもしれない。

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PHOTOGRAPH COURTESY OF APPLE

価格相応かは疑問も残る

今後予定されるアップデートでは、競合製品と同じように、HomePodを2つリンクさせてステレオスピーカーとして使うことができるようになる。「AirPlay 2」のリリースと同時に行われるアップデートで、マルチルームにも対応するという。

HomePodはSiriに対応しているので、iPhoneでSiriに頼めることはすべてHomePodでもできる。しかしこれは、Siriの欠点も引き継がれてしまうということだ。『WIRED』UK版がテストしていた短い間、Siriがわたしたちの言っていることを理解できないことが3回あった。

Siriは、いま流れている曲や関係するミュージシャンについての細かい質問にはよく答えてくれる。また週に1回、持ち主のApple Musicのアカウントにリンクされているプレイリストを更新する。問題はここだ。現時点では、SiriでHomePodをコントロールしたいなら、Apple Musicのアカウントが必要になる。

詳細なレヴューではもっとたくさん言うべきことが出てくるだろうが、HomePodの第一印象をまとめると、見た目は素晴らしくセットアップもシンプルで間違いなくパワフルだが、そのサウンドが349ドルという値段に見合ったものかという点には疑問が残る。

さらに厄介なことに、SonosがHomePodに対抗してSonos Oneの2台セットを349ドルで販売すると発表したばかりだ。

Siriの付いたHomePodを1台か、Alexa対応のSonos Oneを2台か。これは悩むところだが、ひとつだけ確かなのは、Sonosがアップルの新製品の発売を指をくわえて見ているわけがないということだ。

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