自律走行トラックで「空っぽの荷台」を埋めるという、Uberの挑戦が始まった

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Uberが自律走行のトラックを500km以上にわたって走行させたことが話題になっている。全米の貨物取扱量の拡大に伴いドライヴァー不足が深刻化するなか、一般道を安全に走行するためのシステムに注目が集まる。だが、Uberはすでに「その先の未来」を見据え、着々と手を打っていた。

TEXT BY ALEX DAVIES
EDITED BY CHIHIRO OKA

WIRED(US)

アリゾナ州トポックで、Uberの自律走行トラック(白)からトレーラーを外し、ドライヴァーが運転する通常のトラックのトラクターにつなぎ替える作業が行われた。Uberは自律走行トラックの開発を加速させ、普通のトラックとのこうした“出合い”の場を増やしたいのだという。PHOTOGRAPH COURTESY OF UBER

Uberのトラックが中西部から南カリフォルニアまで走り抜いた事実が印象的だったのは、アリゾナ州をまたぐ344マイル(約554km)の旅が自動運転だったからではない。それはラリーとマークという2人の男が出会ったときに起きた。

熟練ドライヴァーのラリーはオペレーターとして、Uberの自律走行トラックの走行をシステム越しに見守っていた。マークはロサンゼルスから普通のトラックでやって来たばかりだった。

アリゾナ州の西の端で遭遇した2人は、それぞれ自らのトレーラーを外して相手のトラクターにつなぎ変えた。マークは再び積荷を目的地まで運ぶ旅路につき、ラリーも自動運転モードに切り替えて東に向かった。

Uberによれば、ここで起きたトラック同士の交流は、物流の世界における自社の最新の取り組みだという。長距離トラック輸送で自動運転技術を活用するための、大きな一歩となる。

Uberは16年、自律走行トラックのスタートアップOttoを買収した。グーグルの自動運転部門であるウェイモ(Waymo)で働いていたアンソニー・レヴァンドウスキーが立ち上げた企業だ。現在は技術盗用を巡る訴訟の和解の一環として、Ottoの名称の使用は断念している。

一般道を安全に運行させる2つの方法

人工知能(AI)にトラックの運転の仕方を教えているのはUberだけではない。ボルボやダイムラー、テスラといった自動車大手のほか、多くのスタートアップがこの分野への参入を表明している。

理由はシリコンヴァレーでも言われているように、全米の貨物取扱量が大きく拡大しているからだ。トラック輸送は「混乱の時代」を迎えている。業界の人手不足は深刻だ。アマゾンが小売業者の実店舗を(また同じ表現で申し訳ないが)混乱させ続けるのであれば、問題は悪化の一途をたどるだろう。

一方で、輸送トラックの主要ルートとなる高速道路は、交通が複雑な都市部より自律走行しやすい。車線をはみ出さないよう気をつけ、前のクルマにぶつからないようブレーキを踏めば、たいていはうまくいく。

つまり、問題は技術的に可能かどうかや、商業的に成り立つかではない。トラックが高速道路を出てからの部分をどう扱うかだ。歩行者を避けながら交差点を通過し、工業団地までたどり着かなければならない。

これについては、複雑すぎて自律走行では難しいと業界各社の意見が一致している。ではどんな解決策があるのだろう。スタートアップのStarsky Roboticsは、一般道では車両を遠隔操作する方法を検討している。一方で、Uberが提案するのは“水先案内人”モデルだ。

Uberは、集荷先から高速道路沿いの輸送センターまでは通常のトラックを人間に運転させる。センターに到着したら、荷物を自動運転トラックに引き渡し、高速道路ではロボットに走行させる(ただし、いまはまだ人間のドライヴァーが運転席に座っている必要がある)。

そして高速道路から一般道に出て配達先までの最後の数マイルでは、再び人間にハンドルを握らせる。人間のドライヴァーは、巨大なコンテナ船を港まで安全かつ効率的に導く水先案内人の役割を果たすというわけだ。

Uberは将来的には自前の輸送ハブを設ける計画である。現在はアリゾナ州の西の州境であるトポックと、東の州境のサンダースをつなぐ州間高速道路にある、40カ所の出口の秤量所を利用している。

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Uberの自律走行トラックに搭載しているハードウェアとソフトウェアは、自社で開発したものだ。ペンシルヴァニア州ピッツバーグにある研究開発所のチームが手がけた。PHOTOGRAPH COURTESY OF UBER

輸送にかかわる「3つの企業」のうち、誰が責任をとるのか

ここまでがトラック輸送における自律走行車両の導入の現状だ。Uberはさらに複雑なことに挑戦しようとしている。それが冒頭で説明したラリーとマークとの出会いだ。2人とも行き帰りとも運ぶ荷物があり、配達後に空の荷台で空気を運ぶという無駄を省くことができた。

Uberは自律走行トラックシステムで、単にスニーカーやおむつ、ドッグフードといった貨物を倉庫から倉庫へと安全に運ぶだけではない。物流の効率化を目指している。うまくいけば、人間のドライヴァーが輸送センターに来てロボトラックに荷物を渡したあと、新たに到着した別の荷物をもち帰ることができる。

最終的なゴールは、トラックのアクセルとブレーキを踏むのが人であれ機械であれ、すべての車両が常に何かを運んでいる状態をつくり出す(そして利益を生み出す)ことだ。国際物流の最適化サーヴィスを提供するFlexportでトラック輸送を担当するジェイソン・パーカーは、「理論的には機能すると思います」と話す。

ただ、物流業界の現実が妨げとなる可能性はある。貨物の流れは均一ではなく、特定の場所や時間帯に集中することが多い。例えば、カリフォルニア州の陸路輸送は流入より流出の方が多い。主要な貿易港が複数あり、多くの貨物が船舶で到着し、トラックで全米各地に運ばれていくからだ。

また、一部の企業やフリーで働くドライヴァーは、自分たちの所有するトレーラーをロボットが運転するトラクターに任せることに不安を覚えるかもしれない。1回の輸送に3つの企業と人間ではないドライヴァーがかかわる事態では、責任の所在を明らかにするのはなかなか難しい。

「Uber Freight」で集めたデータを活用

こうした問題を解決するには、Uberは貨物の移動パターンを詳細に把握しておく必要がある。そこで役立つのが「Uber Freight」だ。16年末から始まったこのサーヴィスは、トラック運転手と輸送を必要とする貨物をつなぐ。「UberX」がプリウスのドライヴァーとベイエリア高速鉄道に飽きたサンフランシスコの住民とをつないだのと同じ発想だ。

Uberが提供するほかのサーヴィスと同様、「中間業者」に取って代わろうとする試みといえる。中間業者とはこの場合、従来の物流仲介業者を指す。トラック運転手を電話で呼び出すという、非常に原始的な方法に頼ることもある人々だ。

旧態依然とした非効率的な業界にメスを入れるのは、いつだって格好のいい仕事だ。しかし、Uber Freightはそれ以上の役割を果たすことができる。1年以上にわたって貨物の動きを追跡し、そのデータを利用して全米の陸路輸送を調整するのだ。

それほど大したことには思えないかもしれない。だが、これこそUberが思い描く未来への第一歩となる。完璧な振り付けで一糸乱れず動く、全国規模の輸送のバレエを実現しようというものだ。

技術的な障害はまだいくつかある。例えば、一部の州では道路の端に停車している緊急車両を追い越す際、一定の間隔をとるよう義務づけられている。Uberのチームはこの規定に確実に沿うための方法を模索している。

またすべての運転操作を行うドライヴァーと同様、自動運転のトラックに乗車するオペレーターも、周囲のクルマがどのように振る舞う可能性があるかをよく把握しなければならない。一般車両のなかには、高速道路でも車間距離を詰め過ぎたり、大型車の前に割り込んだりといった愚かな行動をするドライヴァーはたくさんいる。

それでも、これは(どちらかと言えば)大した問題ではないだろう。自律走行トラックの荷台を24時間ずっといっぱいにしておくほうがよほど難しい。そのトラックを全米の高速道路で走らせるのとは、また別の仕事なのだから。

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