医療現場におけるPepperとWatsonの可能性|SoftBank World 2016 ピックアップセッションレポート[2/3]

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スマートデバイス向けアプリケーション開発で国内最大規模の実績を持つ株式会社ジェナの代表取締役社長 手塚康夫氏の特別講演『PepperとWatsonが変えるビジネスの未来』が「SoftBank World 2016」(7月21日) において開催されました。
今回は東京慈恵会医科大学の事例を中心に、医療現場におけるPepperとWatsonの可能性を探っていきます。

▼株式会社ジェナ 代表取締役社長 手塚康夫氏

これからは、Pepper、Watson、IoT

手塚氏:私たちがアプリ開発でいちばん大切にしているのはUI/UXです。

株式会社ジェナの手塚社長が真っ先に強調したのが、UI(ユーザー・インターフェース)とUX(ユーザー・エクスペリエンス)の重要性です。アプリケーションは何を優先して開発されるべきか。それは、何よりも使いやすいこと。そして、ユーザーに新しい体験や満足をもたらすものであること。顧客志向を第一とする同社は、デバイスのみで完結するものからWEBシステムや基幹システムと連携するものまで、100社600アプリ以上の実績を有しています。そんなジェナの手塚社長が今、注力しているのが「Pepperに代表されるロボット」、「Watsonに代表されるコグニティブ・コンピューティング」、そして「IoT」です。

ロボ・アプリに求められる3要素とは?

手塚氏:Pepperに代表されるロボットのアプリに求められる要素の1つ目は、「人間らしさの追求」です。対面しているのが大人なのか、子供なのか。ターゲットに対して最もふさわしい発話(ボイス)、行動(モーション)であるか。また、ロボットとの自然なコミュニケーションを成立させるためには、前後の文脈(シナリオ)を理解する必要があります。
2つ目は、「総合的な演出」の実施です。私たちは機能ではなく、体験を提供しなければいけません。Pepperの演出を行う際には「驚きや感動」など、心を動かすようなサプライズ要素を入れることが重要です。もちろん、説明パネルを置くなど、きめこまやかな演出がユーザーの満足度を左右します。
3つ目は、「IoT機器としての活用」です。Pepper自体、非常に多くのセンサーを持っています。話し言葉はもちろん、その人が悲しいのか、楽しいのか、感情さえ理解できます。つまり、Pepperは機械的なセンサーではなく、高性能な人型センサーなのです。また、人の音声を録音し、Watsonで解析することも可能です。

東京慈恵会医科大学との共同研究

手塚氏:次に東京慈恵会医科大学のPepper導入事例をご紹介します。同大学には先端医療情報技術研究講座があり、ICTと医療を組み合わせた産学連携コンソーシアムが始まっています。私たちもIoTやロボット、モバイル・アプリ開発などで参画しています。

東京慈恵会医科大学 髙尾洋之准教授(ビデオ出演)たとえばPepperを前にすると患者さんの表情はどうなるのか? 観察の結果としては「悲しい顔」が6割以上でした。病院だから当たり前なのかもしれません。また、人と話しづらい患者さんがロボットとならコミュニケーションがとれる。そのような結果もでています。今後、AIの発達などでロボットがさらに賢くなるようでしたら、直接患者さんを問診し、症状を聞いたりすることができるようになるかもしれませんね。

▼「慈恵Pepper」。感情の変化をセンサーによって取得できる

▼共同研究の成果は書籍化されている。『スマホで始まる未来の医療 医療+ICTの最前線』日経BP社

「人工知能万能説」には疑問符がつきます

講演の最後に、IBM Watsonのコグニティブ・コンピューティングを活用したアプリ開発に携わっている手塚氏から、聴講中の開発者の皆さんに貴重なアドバイスがありました。

手塚氏:これから開発に参画しようという皆さまの、頭の片隅においてもらいたいことがあります。それは「人工知能万能説」という間違いです。なんでもかんでも詰め込もうとする人がいますが、ビジネス上で解決したい課題の優先順位を付け、絞り込みを行うことが重要です。そして、どのAPIを使用し、どのように他のシステムと連携するかを決定する必要があります。

▼スマホなどの既存デバイス、クラウド・サービス、IBM Bluemix上のIBM Watson IoT、Node-REDを活用することで、素早く簡単にIoTアプリ開発を行うことが可能

▼IBM Watson IoTは「機械的な情報」に「人間的な情報」を加算できる

—————

今、Watson やPepperはもちろん、スマートフォンとそれに連携するウェアラブル機器が取得した生体情報はすでに医療現場で健康管理、疾病予防などに使われ始めています。
2016年8月4日、診断が難しい60代の女性患者の白血病を10分ほどで見抜いて、東京大学医科学研究所に適切な治療法を助言、女性の回復に貢献していたというIBM Watsonのうれしいニュースがありました。今後もMedTechに注目です。

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