自動運転車、事故になると誰が責任とるの?

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IoT社会を一大インフラとして牽引していくことになりそうなのが自動運転車の普及。しかし、まだ完全な自動運転の機能が確立していない中にあって、今年5月米国のTesla MotorsのModel Sによる「自動運転中の死亡事故」が発生してしまった。事故が起きたのは米国フロリダ州。Model Sのドライバーがオートパイロット機能を使用中、前方に割り込んできた大型トレーラーに巻き込まれて死亡したというもので、Tesla Motorsはトレーラーの白い側面が晴天の光を反射したために、オートパイロット機能が正常に作動しなかったと説明している。このドライバーは運転を任せていただけではなく、DVDを見ていたという情報も飛び出して関係者をびっくりさせている。開発途上にある自動運転にここまで依存するドバイバーが既に存在するというのも驚かされる。今後、こうした自動運転車で事故が起きる際に一体誰の責任になるものなのか?今回はこのポイントについて検討をくわえる。

国交省はレベル4までの分類を規定

いよいよ自動運転車の導入が近づいていることもあり、行政もその分類を始めている。国交省が定義している自動制御活用型のシステムについての分類は4つ。
まずレベル1は単独型と呼ばれるもので、加速、操舵、制御のいずれかの操作をシステムが行うものを指す。この場合に事故が起きたならば、あきらかにドライバー責任となる、と明記されている。
またレベル2はシステムの複合化であり、加速、操舵、制御のうちの複数の操作をいちどにシステムが行う状態をいうが、こちらもドライバー責任と定義されている。
さらにレベル3は加速、操舵、制御をすべてシステムが行い、システムが要請した場合のみドライバーが対応するものだ。この場合はシステムの責任と明記されている。
レベル4は、自動運転の本筋である完全自動走行で、加速、操舵、制御をすべてシステムが行い、ドライバーは運転にまったく関与しないという状況を指す。この場合ももちろんシステムが全責任を負う形になるという。
今回事故を起こしたModel Sが搭載するオートパイロット機能は、ドライバーが前方・周囲を監視しながら安全運転することを前提に、車線維持支援、車線変更支援、自動ブレーキなどを行う機能にすぎないため、この国交省が定義した分類ではレベル2に当てはまるもの。天候や交通状況によっては機能が正常に作動しない場合もあるため、国交省では注意を怠ることは極めて危険と注意を呼び掛けている。そうした事故の責任は原則として、運転者が負うことになるという。

損保業界はレベル3まで現行法適用の構え

保険で補償を行う立場にある損保業界も、その対応を明らかにしはじめている。日本損保協会では、自動運転車については世界的に技術開発が進んでおり、その実現によって交通事故削減、環境負荷軽減、高齢者などの移動手段確保といった効果が期待されると前向きに評価している。その一方で自動運転車の事故発生時、損害賠償責任が従来とは異なる責任関係が生じる可能性があることから、同協会では2014年8月以降、事故時の損害賠償責任を中心に自動運転の法的課題について研究を重ねてきている。国交省が定義しているレベル3は、現行の自動車損害賠償保障法と民法に基づく考え方が適用可能と考えられるとしており、ここまでの自動運転車については保険の対象とする考えを示している。

ただし、レベル4については国際的な議論の動向、社会受容性を踏まえ、自動車に関連する法令を見直した上で、損害賠償責任のあり方を検討する必要があるとしており、補償の対象とすることを明確にはしていない状況だ。ひとくちにシステムの問題といっても制御系の問題なのかIoTのような情報蓄積伝達系の問題なのかによっても「誰が責任を負うことになるのか」という問題は大きな議論になりえるだろう。
社会インフラを根本から変えうる、自動運転のようなイノベーションの場合、既存の法体系やビジネス体系では収まらない部分がでることは間違いなく、これまでとは大きく考え方を変える必要がある。自動運転の早期の実現のためにもレベル4を含めた総合的な補償体系を整えることが強く望まれるところだ。

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