大気汚染は脳に「金属ナノ粒子」を蓄積し、アルツハイマー病を引き起こしうる:研究結果

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脳検体の分析により、汚染大気から有毒なナノ粒子が脳に取り込まれているという研究結果が発表された。こうしたナノ粒子がアルツハイマー病を引き起こす可能性もあるという。

TEXT BY BETH MOLE
TRANSLATION BY MIHO AMANO/GALILEO

ARS TECHNICA (US)

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PHOTO: kzenon / 123RF

人間の脳は、汚染大気から磁性のある有毒なナノ粒子を取り込んで蓄積しているとする研究結果が、今年9月の『米国科学アカデミー紀要』で発表されている。

強磁性の酸化鉄化合物である磁鉄鉱(マグネタイト)からなるこのナノ粒子は、以前から人間の脳に存在していることがわかっていたが、これまでは、生物体内で生成される無害な副産物だと考えられていた。しかし、37個の人間の脳検体で発見されたナノ粒子を詳細に調べた今回の研究によると、これらはガソリンの燃焼やクルマがブレーキを踏むときに生じるスモッグから取り込まれたものであることがわかったという。

英国ランカスター大学のバーバラ・マーハーが率いる研究チームは、高分解能イメージング技術を使用して、死後に提供された脳検体37個の前頭葉に存在するナノ構造磁性体を分析した。脳検体の多くはメキシコシティの住人から提供されたものだが、英マンチェスターから提供された検体も数個含まれていた。

検査の結果、脳内のナノ構造磁性体の一部は、角のある幾何学的な形状をしていることがわかった。これは生物体内で形成されたという明確な印だ。だが、大部分は、角のない滑らかな形状をしていた。工場の煙突やクルマのマフラーから放出されるナノ構造磁性体はこういう形だ。またこれらの極小金属球には、プラチナやニッケル、コバルトといったほかの遷移金属ナノ粒子も付着していた。こうした粒子は通常は脳内には存在しない。

「今回の研究で特定された球形のマグネタイト、そして同時に発生している遷移金属ナノ粒子の存在は、生物起源でないマグネタイトが脳内にあることを示している」と研究チームは述べている。

研究チームは、こうしたマグネタイト粒子は呼吸によって脳内に取り込まれたものだと推測している。粒子の直径は約150ナノメートル以下と非常に小さいため、嗅球の隙間から脳内に入り込めるという。

ただし、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの神経学者、ジェニファー・ポコックは、ナノ構造磁性体が嗅球から脳に入り込むことが、それほど日常的で容易なのかについては疑問を呈している。また、今回の研究では、脳内にナノ構造磁性体が蓄積されることについて、都市生活者と郊外の住人との比較が行われていない点についても指摘している。

以前の研究で、脳内に存在するナノ構造磁性体は、アルツハイマー病と相関性があることがわかっている。このナノ構造磁性体は、アルツハイマー病と関連のある異常な折り畳み構造のタンパク質と相互作用して活性酸素を生成し、これが細胞に重度の損傷を与える可能性があると考えられている。

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