暗闇の先の光へ。洗濯物折り畳みロボットをつくりあげた哲学──seven dreamers

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No.038
暗闇の先の光へ。洗濯物折り畳みロボットを
つくりあげた哲学──seven dreamers

彼らが生み出してきたプロダクトは、常に「世界初」である。完全オーダーメイドのゴルフシャフト、ワンデイ・ディスポーザブルのいびき・無呼吸解消デバイス。そして2017年、かねてより話題となっていた全自動衣類折りたたみロボット“ランドロイド”が、遂にリリースの時を迎える。常識を破り続けるものづくり集団は、何が他と違うのか──代表取締役社長・理学博士の阪根信一に聞く。

セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ株式会社|seven dreamers laboratories, inc.
阪根信一代表取締役社長が牽引する、「世の中にないモノを創り出す技術集団」。古くは大阪万博の「太陽の塔」、近年では「はやぶさ」などの人工衛星の製作を手がけてきたスーパーレジン工業(1957年創業)が企業としてのルーツ。2005年にランドロイド、2007年にヘルスケア事業の“ナステント”の開発を開始。2008年に阪根がスーパーレジン工業の社長に就任した後、「世の中にないモノを創り出す技術集団」であることを目指し、その技術を2011年にSeven Dremers Laboratories, Inc.へ譲渡、引き継いだ。2014年seven dreamers laboratories株式会社を東京都に設立。

「太陽の塔」から宇宙探査機「はやぶさ」まで。樹脂を中心に戦後日本の発展を象徴する場面に居合わせてきた企業の技術を、よりイノヴェイティヴに転化させるべく、セブンドリーマーズは21世紀初頭にその第一歩を踏み出した。それから現在まで世に問うてきたプロダクトは、毎回まったく異なるジャンルで展開されてきた。ゴルフシャフト、医療機器、そして今度は全自動の衣類折りたたみロボット──? 誰もが最初、耳を疑ったに違いない。

しかし彼らは、そうしてぼくたちを騒然とさせる話題性と、それを実際にプロダクトとして成立させていく確実性を両立させている。その両輪こそが、セブンドリーマーズが破竹の勢いで突き進んでいる要因である。そうした革新的な体質は、どのように醸成されるのだろうか。

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──いよいよ2017年3月、全自動の洗濯物折り畳みロボット「ランドロイド」が予約開始となりますね。2015年のプロジェクト発表以降、開発を進めながら、イベントでのデモンストレーションも展開してきて、反応はいかがですか。

2015年10月、そして2016年も同じくCEATEC JAPANに出展し、実演をしながら多くの方々にランドロイドを紹介してきました。もちろんわたしたちは自信を持っており、話題になるであろうとは思っていたのですが、その予想を遥かに上回って、情報が世界を駆け巡っているという実感を抱いていますね。

特に2015年の発表を経て、2017年の実際のリリースを告知するにあたっては、「えっ、本当に発売するんだ!?」というような声も多数いただきました。花火を打ち上げただけではなかったんだ、と(笑)。デモを行っていても、手が届くとは思っていなかったのに目の前に到来している未来──それにいち早く触れたいと思っている方々が、わたしたちのブースに足を運んできてくださっていると感じましたね。

──2015年に試作機でデモを行った際には2016年内発売予定と発表し、年明けにはなりましたが2017年3月予約開始と多少の遅れこそあれ、実際のローンチまでが本当に早かったですよね。驚いた人も多かったと思いますが、この1年ではどのあたりが進化してきたのでしょうか。

ランドロイドは、画像解析技術、AI、ロボティクス技術をコアとしてテクノロジーを集約してつくり出しているのですが、ここ1年でも、ハード面とソフト面、双方で進化を遂げてきています。

まずハード面では、ユーザーが入れた洗濯物を、ロボットアームが摘み上げ、広げ、畳み、最終的に取り出しボックスへきっちり崩れないように積み上げる──この一連の動作をいかにスムーズに短時間で行うべく、改良してきました。ソフト面ではAIが、柄も生地もまったく異なる、ランダムな複数の衣類を認識し、アイテム別・家族別に仕分けできるよう、徹底的に学習を行わせてきました。

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──そうした先鋭的なプロダクトを生み出すセブンドリーマーズは、コーポレートサイト上のメッセージ冒頭で「本気で挑戦している皆さまへ」とあるように、イノヴェイティヴな志への“シンクロ”を重視していますよね。目標設定を提示し、そこに共感してくれる人たちと共に、スピーディーな展開を見せていくというダイナミズムが特徴的です。

わたしたちの手法として「未来を言い切ってしまう」ことが挙げられます。未来の目標を言い切ってしまい、しかも納期もセットにする。いつまでにこうする、と発表してしまうことで、いろんなことが起こり始めるんです。

たとえば共感してくださる方からの出資。今回のランドロイドも、パナソニック、大和ハウス工業との共同出資という形で進めさせていただき、2016年11月にはSBIインベストメントなど含め60億円の大型資金調達も実施しました。勇気をもって言い切ることで、賛同する方々に集まってきていただけるんですね。

そして、当然ですが技術集団であるわたしたち自身も、積極的な“危機意識”をもってプロジェクトに取り組むようになります。目標を世間へ公にした段階で、「本当にできるの?」という思いは社内外から湧き上がるわけです。それをたびたび公言することで、たとえば2017年3月予約開始だということで、社外からは先ほどの「本当に売るんだ」といった反応をいただけますし、社内でも「社長は本気だったんだ……!」と気づいてもらえます(笑)。社員一丸となって、プロジェクト実現に向けて必死になっていくわけですね。

人の物まねのようなプロダクトで良いのであれば、同じような製品を少し安く、かつ改良するというやり方でよいでしょう。それはわたしたちから見れば、「明るい道」を進んでいるということになります。既製品を調べれば、いくらでもヒントはある。しかし、わたしたちが実現しようとしているのは、真にイノヴェイティヴなプロダクトであるわけですから、「真っ暗闇の森」の前に立っている──森を抜けたところにゴールを設定する、というイメージなんですね。普通でしたら、怖いし、右も左も分からないわけですから、誰も一歩も踏み出したくはない。その森を進む社員に、ずっと声をかけ続けるのが、わたしの最大の仕事です。

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──2014年以降、手掛けられてきたプロダクトは、完全オーダーメイドのゴルフシャフト、そして、いびきのない快眠をサポートする気道確保の医療デバイス「ナステントクラシック」。まったく異なるジャンルですが、これらの規格開発は、どういった基準で決定されるのでしょうか。

3つのクライテリア(判断基準)を満たしたものだけが、プロジェクト化していきます。その基準とは、「世の中にないモノ」、「人々の生活を豊かにするモノ」、そして「技術的ハードルが高いモノ」です。

この3つの基準を満たすモノって、それこそわたしも日々考え続けているのですが、なかなかないんです。ようやく、これはいけるかも、と思うものを考えついても、調べると先行する特許や論文があることも多く、そうした篩にかけられて残ったのが、ランドロイドを含めた3つのプロダクトラインなんですね。

ランドロイドに関しては、何気なく妻に新製品のアイデアを相談したとき、「全自動の折り畳み式ロボットしかない」と言われたのがきっかけです。最初はあまりに意外で、技術的な難しさも含めて躊躇しかけたのですが(笑)、調べてみると競合するプロジェクトがなかった。「こんなテーマがあったのか!」と喜びましたね。わたしたちはB to Cの姿勢として、徹底的にニーズを重視します。シーズとしての手持ちの技術に照らし合わせることは一切せず、分野を問わずニーズから考えていくんです。

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──そうしたイノヴェイティヴな姿勢は、容易に理解されるものですか。

当初、こうした姿勢を受け入れてもらえるだろうと思って、シリコンバレーで会社の登記をしたんですね。そして現地のベンチャーキャピタルへ、資金提供の相談にいきました。まずローンチ間近だったナステントクラシックについてプレゼンをしたら、とても好反応で。それではと思って、完全オーダーメイドのゴルフのカーボンシャフト、そしてランドロイドのプロジェクトも紹介していったんですが、途端に顔色が変わったんです。席を立ちあがって、「もういい、俺は忙しいから帰れ」と言われて。

なんて失礼な人なんだと思って、次のベンチャーキャピタルに向かったのですが、同じでした。その次も同じだったので、なぜなのか聞いてみたんですね。すると、「スタートアップを数多く見てきたシリコンバレーの歴史が証明している。ひとつの製品に、天才社長と天才社員が全身全霊をつぎ込み、命を賭けてやりきって、それでも1%も成功しない世界なんだ。それを3つも事業を並行して、成功するはずがない」と言われたんです。

──最先端のはずが、ある意味で根性主義のような話ですね……(笑)。

めぐりめぐって日本での方が理解されやすかったので、現在に至っているんです。でも、こうしたネガティヴな反応が出れば出るほど、そこには可能性があると思っています。同じようなアイデアを持っていた人や企業がいたとしても、どこかで立ち消えてしまったかもしれない。そのアイデアを実現できた人はいない。これはいいぞ、と。

──「これはいいぞ」となるのが、セブンドリーマーズなんですね。

我々のビジネスモデル、こうした3つのプロダクトライン──今後も増えていくはずですが、相互にシナジー効果があるわけではない製品群を展開することに、ここまでネガティヴな反応があるとは思っていませんでした。

しかし、それはとてもいいことなんです。暗闇のなかにいると、不安になることは当然あります。でも「できる!」と言い続けて進んでいれば、思わぬタイミングで、壁を破るヒントやアイデアが出てくるんです。

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