米国がいまこそ必要とする、40年前の「建国記念ロゴ」

01-arb_gsm_memorabilia_6-932x621-93df05d7348cc97565a0c1962126264662e22da3

1976年の米国建国200年祭のためにつくられた星型のロゴは、混乱の最中にあった人々に向けて「国の結束」を伝えるものだった。アメリカがひとつになるために、いまこそこのロゴが再び必要なのかもしれない。ニューヨークの独立系出版社は、ロゴの規格書を復活させることにした。

TEXT BY LIZ STINSON
TRANSLATION BY YASUKO ENDO, HIROKO GOHARA/GALILEO

WIRED (US)

  • 1/10ブラックバーンがアメリカ建国200年祭のためにデザインした、ロゴ入りの記念プレート。PHOTOGRAPH COURTESY OF BRIAN KELLY/JESSE REED & HAMISH SMYTH/STANDARDS MANUAL

  • 02-arb_gsm_detail_1-932x591

    2/10「Standards Manual」は、ブラックバーンのロゴを詳しく説明した規格書の復刻版をつくった。PHOTOGRAPH COURTESY OF BRIAN KELLY/JESSE REED & HAMISH SMYTH/STANDARDS MANUAL

  • 03-arb_gsm_detail_3-932x621

    3/10規格書でブラックバーンは、異なる素材や状況におけるロゴの描き方を説明する。PHOTOGRAPH COURTESY OF BRIAN KELLY/JESSE REED & HAMISH SMYTH/STANDARDS MANUAL

  • 04-arb_gsm_detail_4-932x591

    4/10ロゴの再現方法が段階を追って示されている。PHOTOGRAPH COURTESY OF BRIAN KELLY/JESSE REED & HAMISH SMYTH/STANDARDS MANUAL

  • 05-arb_gsm_detail_7-932x591

    5/10ロゴは分解できる各パーツが組み合わさってできたものだ。PHOTOGRAPH COURTESY OF BRIAN KELLY/JESSE REED & HAMISH SMYTH/STANDARDS MANUAL

  • 06-arb_gsm_memorabilia_1-932x591

    6/10ロゴはさまざまな製品に使われている。これは飾り紐。PHOTOGRAPH COURTESY OF BRIAN KELLY/JESSE REED & HAMISH SMYTH/STANDARDS MANUAL

  • 07-arb_gsm_detail_10-932x621

    7/10大小さまざまなサイズのロゴ。PHOTOGRAPH COURTESY OF BRIAN KELLY/JESSE REED & HAMISH SMYTH/STANDARDS MANUAL

  • 08-arb_gsm_spread_1-932x591

    8/10復刻された規格書の表紙。PHOTOGRAPH COURTESY OF BRIAN KELLY/JESSE REED & HAMISH SMYTH/STANDARDS MANUAL

  • 09-arb_gsm_detail_2-932x621

    9/10規格書は、ブラックバーンの序文から始まる。PHOTOGRAPH COURTESY OF BRIAN KELLY/JESSE REED & HAMISH SMYTH/STANDARDS MANUAL

  • 10-arb_gsm_spread_8-932x591

    10/1052ページにおよぶ規格書では、ロゴのヴィジュアルに関するルールが細かく指定されている。PHOTOGRAPH COURTESY OF BRIAN KELLY/JESSE REED & HAMISH SMYTH/STANDARDS MANUAL

  • 01-arb_gsm_memorabilia_6-932x621

    01-arb_gsm_memorabilia_6-932x621

ブラックバーンがアメリカ建国200年祭のためにデザインした、ロゴ入りの記念プレート。PHOTOGRAPH COURTESY OF BRIAN KELLY/JESSE REED & HAMISH SMYTH/STANDARDS MANUAL

  • 02-arb_gsm_detail_1-932x591

    02-arb_gsm_detail_1-932x591

「Standards Manual」は、ブラックバーンのロゴを詳しく説明した規格書の復刻版をつくった。PHOTOGRAPH COURTESY OF BRIAN KELLY/JESSE REED & HAMISH SMYTH/STANDARDS MANUAL

  • 03-arb_gsm_detail_3-932x621

    03-arb_gsm_detail_3-932x621

規格書でブラックバーンは、異なる素材や状況におけるロゴの描き方を説明する。PHOTOGRAPH COURTESY OF BRIAN KELLY/JESSE REED & HAMISH SMYTH/STANDARDS MANUAL

  • 04-arb_gsm_detail_4-932x591

    04-arb_gsm_detail_4-932x591

ロゴの再現方法が段階を追って示されている。PHOTOGRAPH COURTESY OF BRIAN KELLY/JESSE REED & HAMISH SMYTH/STANDARDS MANUAL

  • 05-arb_gsm_detail_7-932x591

    05-arb_gsm_detail_7-932x591

ロゴは分解できる各パーツが組み合わさってできたものだ。PHOTOGRAPH COURTESY OF BRIAN KELLY/JESSE REED & HAMISH SMYTH/STANDARDS MANUAL

  • 06-arb_gsm_memorabilia_1-932x591

    06-arb_gsm_memorabilia_1-932x591

ロゴはさまざまな製品に使われている。これは飾り紐。PHOTOGRAPH COURTESY OF BRIAN KELLY/JESSE REED & HAMISH SMYTH/STANDARDS MANUAL

  • 07-arb_gsm_detail_10-932x621

    07-arb_gsm_detail_10-932x621

大小さまざまなサイズのロゴ。PHOTOGRAPH COURTESY OF BRIAN KELLY/JESSE REED & HAMISH SMYTH/STANDARDS MANUAL

  • 08-arb_gsm_spread_1-932x591

    08-arb_gsm_spread_1-932x591

復刻された規格書の表紙。PHOTOGRAPH COURTESY OF BRIAN KELLY/JESSE REED & HAMISH SMYTH/STANDARDS MANUAL

  • 09-arb_gsm_detail_2-932x621

    09-arb_gsm_detail_2-932x621

規格書は、ブラックバーンの序文から始まる。PHOTOGRAPH COURTESY OF BRIAN KELLY/JESSE REED & HAMISH SMYTH/STANDARDS MANUAL

  • 10-arb_gsm_spread_8-932x591

    10-arb_gsm_spread_8-932x591

52ページにおよぶ規格書では、ロゴのヴィジュアルに関するルールが細かく指定されている。PHOTOGRAPH COURTESY OF BRIAN KELLY/JESSE REED & HAMISH SMYTH/STANDARDS MANUAL

ニューヨークにデザインスタジオを構えていたブルース・ブラックバーンは1974年、米国の建国200年祭を記念してロゴをデザインした。

当時の米国は、混乱の最中にあった。ベトナム戦争からの撤退が間近に迫り、ウォーターゲート事件が起きて政府に対する国民の信頼は揺るぎ、ニクソン大統領は辞任目前だった。

それでも、米国建国200年祭委員会が選出したブラックバーンのデザインは、政治情勢とは別に、「国の結束」という理想主義的なイメージを伝えていた。

建国200年目の1976年になると、ブラックバーンのロゴは、軍の記章からバッジ、切手、コーヒーカップまで、いたるところで見かけるようになった。政府機関の建物には、ロゴの入った紋章も飾られた。

しかし、記念すべき年が終わると、ブラックバーンのロゴも消えた。そして誕生から40年が過ぎたいま、そのロゴが再び注目を浴びている。そのデザインは、いまだに色あせていないのだ。

「(ロゴのデザインで)変えたいところはひとつもありません」と話すのは、古いデザインの復活に取り組む「Standards Manual」の共同創業者ジェシー・リードだ。同社は2014年、Kickstarterを使って、ニューヨーク交通局のグラフィック規格書を復活させた。さらに2015年には、NASA(米航空宇宙局)のかつてのグラフィック規格書も復活させている(日本語版記事)。

グラフィック規格書とは、ロゴや標識などのデザイン仕様を詳細に記したものだ。「規格書はとてもシンプルなものですが、説得力をもっています」

リードともうひとりの創業者ヘイミッシュ・スマイスが復刻しているのは、ブラックバーンがデザインしたシンボルをさまざまな素材や状況でどう描き、どう使用すべきかを自ら説明した52ページにわたる規格書だ。そのなかでは、建国200年祭のロゴは赤、白、青のストライプで縁取られた「角の丸い星型」によって星条旗とアメリカの歴史を喚起する、と説明されている。

米大統領選は、新たなテクノロジーが社会を変えていく現場だ。果たして2016年の大統領選を通して、米国はいかに変容してきたのか? 全米を舞台に立ち現れるさまざまな事象を、デザインシンカー・池田純一が読み解く。

規格書の序文でブラックバーンは、200年の歴史をもつ米国を象徴するロゴを、ありふれた方法に頼らずにつくりたかった、と述べている。

星はまさに最適だった。普遍的でありながら、まぎれもなく米国を表しているシンボルだからだ。彼は星条旗に描かれている「軍国主義的」な尖った星の角を丸めて、そこに意味を込めた。「ブラックバーンは、国としてのプライドと米国の歴史を洗練させ、ありきたりではないデザインを生み出したのです」とリードは語る。

ブラックバーンはこのロゴをデザインした数年後に、NASAの有名な「ワーム」と呼ばれるロゴ(日本語版記事)を生み出した。これら2つのデザインにははっきりとした共通点が見て取れる。リードは建国200年祭の有名なロゴについて、「基本的には5つの(「NASA」にも使われている)Aが丸く並んでいるデザインです」と述べている。

ブラックバーンのロゴは非の打ちどころがなかったにもかかわらず(リードは「ほぼ完ぺきな配列です」と話す)、当時のニクソン政権では評判がよくなかった。あまりにも親しみやすく、「政府らしさ」に欠けるとされたのだ。政府はブラックバーンに対し、星をテキストで囲むよう要請した。そのほうが軍の階級章のように見えるという理由からだ。

米国のシンボルとしては、星条旗や国鳥のハクトウワシ、自由の女神など、愛国心を象徴するものが多い。しかし、ブラックバーンのロゴがそういったほかのものと大きく異なるのは、米国が抱える複雑さを純化して、シンプルでありながら強く印象に残るシンボルである点だ。

このロゴは、米国の抱えていた問題を解決したわけではないが、少なくともわずかの間は、ともに立つことを意味する美しいシンボルを提供したのだ。

関連記事トランプの勝利は、何を問うか

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

話題をチェック

  1. 600x601x20170822nana.jpg.pagespeed.ic.u5ed1iTQeL-e5b3de5c391c8e3805df72a8cdb3da051ece71fa

    ANA、機内食総選挙2017の結果発表 和食は牛すきやき丼、洋食はビーフシチューとオムライス

    Sponsored link  機上ӗ…
  2. MIT-Instant-Retouch-TA-12db540ca97a6020f2db78ca5b27647ac89d2f28

    機械学習を用いれば、写真が「撮影する前」からプロ仕様の美しさに──グーグルとMITがアルゴリズムを開発

    NEWS 2017.08.22 TUE 08:00マサチ&…
  3. GettyImages-496380034-e1503241697905-b18cea347ee2933a806af5a4adfa2f3d9569add1

    「世界共通のインターネット」を巡る、グーグルとカナダ最高裁との闘い

    NEWS 2017.08.21 MON 07:00カナダ&…
ページ上部へ戻る