2019年、NY地下鉄が一部運航停止、そして始まる「交通ルネサンス」

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改修工事のため、2019年の運行停止が決まったニューヨークの地下鉄Lライン。30万人もの利用客をどう移動させるのか、いままさに議論が交わされている。

TEXT BY AARIAN MARSHALL

WIRED(US)

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PHOTO: GETTY IMAGES

2019年、ニューヨーク市は、イーストリヴァーの下を走りマンハッタンを横断する地下鉄Lラインの一部運行停止を計画している。12年のハリケーン「サンディ」による損傷を18カ月かけて修復するためだ。

間違いなく、この運行停止は“最悪”だ。ニューヨーク市とメトロポリタン・トランスポーテーション・オーソリティー(MTA)はすでに、ブルックリンからマンハッタン、さらにマンハッタン島を横断した先まで、どうやって客を運ぶかを検討している。フェリー、バス、自転車レーン、ゴンドラを組み合わせたとしても、平日で30万人の乗客を移動させているLラインの代わりを務めることはできないのだ。

とはいえ、このトンネルにも、工期完了を待たずして、光明を見出すことができる。ニューヨーク市が適切な措置を取れば、このレモンのようにすっぱい逆境も素晴らしきビヨンセのアルバム(『レモネード』:参考記事/ソランジュとビヨンセ、ある姉妹の2016年の「プロテスト」)に変えられる。

通りからクルマを追放せよ

2016年9月、MATはこの“レモネード”のレシピを研究することを発表した。バス高速輸送システム(BRT)や歩行者、そしてサイクリストたちに有利なインフラをつくるため、フォーティーンス・ストリート[編註:マンハッタンを東西に横断する通りの1つ]から自動車を追放するというのだ。臨時の対処ではあるものの、恒久的な処置になる可能性もあるという。

「今回の計画は、21世紀型のストリートデザインが交通処理能力だけでなく、住みやすさも最大化できることを証明する絶好の機会だと考えています」と、Transportation Alternatives(TA)のディレクター、ポール・スティーリー・ホワイトは言う。TAは、ニューヨーク市のシンクタンクと並んで、彼らが「PeopleWay」と呼ぶこの計画の主要な支持団体である。

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フォーティーンス・ストリートの「PeopleWay」計画を支持して集まったボランティアたち。PHOTOGRAPH BY KONSTANTIN SERGEYEV/TRANSPORTATION ALTERNATIVES

TAの思惑通りにこの計画が進めらると、フォーティーンス・ストリートの「PeopleWay」は、専用のバスレーン、2車線の自転車レーンを有することになる。歩道もより広くなる。グループの大まかな試算によると、(クルマが平均1.4人を運ぶと仮定して)再構成されたストリートのキャパシティは、いまの2倍にもなりうるという。この計画にかかるコストはまだ広く発表されていないが、ホワイトは4,000万ドルの費用で迅速に配備されたミシガン市のBRT計画を例に挙げている。

全体的な効率を高めると同時に、より健康でより安全な輸送方法を促進するというこの魅力的かつヨーロッパ的なヴィジョンは、もうひとつの問題も提起している。この計画を承認する前に、ニューヨーク市運輸局(DOT)は、フォーティーンス・ストリートの各事業者への宅配輸送のルートを考え、またフォーティーンス・ストリートを使えずに迂回するドライヴァーがほかの大通りで渋滞を起こすことがないようにしないといけない。

目を向けるべきはパリ

Lラインの野心的な緊急対応策は、「PeopleWay」だけではない。ニューヨーク市市長のビル・デブラシオは大型フェリービジネスについて言及しており、Lライン運行停止の1年半前に「イーストリヴァー・サーヴィス」の導入を約束している(このフェリーが1日に約12,000人の乗客しか運べず、そのうえマンハッタンを横切ることはできないということは気にしないでおこう)。ヴァン・アレン研究所が主催する独創的なコンペでは、残念ながらコンドームにも見えてしまう歩行者用橋や、ウォーター・シャトル・ネットワークが提案されている

ニューヨーク大学、Rudin Center for Transportationの研究グループは、自動車の相乗り会社との共同事業や高速バスサーヴィスといった解決策を推奨している[PDF]。あるいは、地下鉄により多くの列車を走らせたり、フェリー、ゴンドラ、さらにはスクーターの共有ネットワークをつくったりといった方法だ。

たとえLラインが運行を再開したとしても、これらのアイデアはニューヨークを歩行者、サイクリスト、さらには公共交通機関の乗客にフレンドリーな都市にしてくれるかもしれない。ニューヨーク市はこれまで、臨時の混雑回避ルールを恒久化させることを避けてきたが、交通混雑の苦悩を利益に変える例として、パリに目を向けるべきなのだ。

2002年、光の街パリはセーヌ川に沿って長く伸びた道路を一時的に人工ビーチにつくり変えた。この「パリ・プラージュ」は大ヒットし、パリはこのプロジェクトを、4車線の主要な河岸高速道路を車両通行止するという先鋭的なスキームにまで発展させている

第1特集「人工知能はどんな未来を夢見るか」では、『WIRED』US版創刊編集長のケヴィン・ケリーによる論考をはじめ、ベン・ゲーツェル、PEZY Computing・齊藤元章、全脳アーキテクチャ取材記事やAIコミック「シンギュラリティ・ロック」を掲載。第2特集「未来都市TOKYOのゆくえ」では、テクノロジーとデザインが変えゆくTOKYOの未来の姿を考察。建築家ビャルケ・インゲルスのや、「デスラボ」カーラ・マリア=ロススタインの死の都市TOKYO彷徨記など盛りだくさんの内容。

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