生み出された「金属水素」、さて何の役に立つのか?

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理論物理学が存在を予想していた「金属水素」が、ハーヴァード大学の2人の研究者の研究により現実のものとなったようだ。

TEXT BY MATTIA MACCARONE
TRANSLATION BY TAKESHI OTOSHI

WIRED(IT)

物理学者たちは、80年以上前から金属水素の存在を証明しようと試みてきた。水素に非常に高い圧力をかけることで生成されるとされる金属状の水素は、理論上、エネルギーとして転換点となりうる性質をもっているとされている。

数多くの理論や実験がなされてきたが、水素分子が金属として振る舞うことを証明できた者は誰もいなかった。しかし、いま、ハーヴァード大学の2人の研究者が、この企てに成功したようだ。実験により証明されたばかりだが、その詳細が『サイエンス』で発表されている。

研究の著者たちは、ユージン・ウィグナーとエルズワース・ハンティントンの理論研究へと立ち戻った。2人の物理学者は、20世紀前半に、高圧条件下、つまり約25GPa(ギガパスカル)で、水素分子(H2)が金属原子(H)に変化するという仮説を立てた。近年、さまざまな実験が、2人の計算が完全に間違っていたことを証明したが、水素に圧力をかけて金属に変化させるというアイデアそのものは決して退けられることはなかった。

論文筆者のランガ・ディアスとアイザック・シルベラは、混合物を-268℃の温度にして、ウィグナーとハンティントンが理論化した圧力の20倍の圧力、495GPaをかける実験を行なった。そして、分光法による測定によって、標準的な水素分子が別々の金属原子に分離したことが記録された。

しかし、まだ多くの問題が未解決のままとなっている。特に、推定される金属水素の状態に関する要件がそうだ。論文筆者たちは、元素の金属相が恐らくは固体状態にあると推定している。しかし、この状態と液体状態を判別できる実験的証拠は何もない。もし固体状態の金属水素が得られれば、そのとき、この物質の相の変化が実証されるだろう。

「この30年の間に、超高圧研究の分野において、実験室での金属水素の作成に関して数多くの発表がありました。しかし、全てその後否定されました」と、エディンバラ大学物理天文学部のユージン・グレゴリアンツは公式声明のなかで説明している。彼は昨年、理論物理学の予想する水素の純粋な原子・金属状態の作成に近付いた。著者のディアスとシルベラは語る。「この目標にたどり着いたいま、次の挑戦は、さまざまな温度での水素の安定性をテストすることと、大量につくり出すことのできる方法が存在するかを調べることでしょう」

金属水素は高い温度で超流動、超電導だと推測されている。そして通常の水素より密度が高いので、一度通常の形に変わると、莫大な量のエネルギーを生み出すことができるとされている。一般的な液体水素より5倍効率的な推進剤となるほどだ。しかし、その能力を全てテストするには、まだ時間がかかる。

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