実現は5年後? イーロン・マスクの新事業「Neuralink」は、脳とコンピューターの接続を目指す

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起業家、イーロン・マスクが参画するそのスタートアップが目指すのは、脳とコンピューターを直接接続する技術を実現することだ。実写映画化が話題となっている『攻殻機動隊』が描いた世界が(一部にせよ)実現する日は、どうやら数年先に迫っている。

TEXT BY RITSUKO KAWAI

イーロン・マスク

連続起業家、イーロン・マスク。PHOTO: GETTYIMAGES

電脳技術やサイボーグ化が身近な存在になった世界を描く漫画原作の実写映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』の公開日を目前に控えるなか、ロケット開発のスペースXや電気自動車のテスラモーターズで知られる起業家イーロン・マスクが、脳とコンピューターを直接接続する技術開発を目的とした企業「Neuralink」を新たに立ち上げたことで脚光を浴びている。

Wall Street Journal』によると、Neuralinkはカリフォリニア州に拠点を置く医療研究企業。頭蓋内コンピューターを使った病気の治療を主な目的としている。すでに神経科学を代表する複数の研究者を採用しており、そのなかには汎用性電極やナノテクノロジーの専門家ヴァネッサ・トロサ博士や、マスク氏が出資している人工知能(AI)関連のカンファレンスにも出席したカリフォリニア大学サンフランシスコ校教授のフィリップ・セイブス、ボストン大学で鳴禽類の脳における神経回路を研究する教授ティモシー・ガードナーといった権威が名を連ねている。

「わたしたちはすでにサイボーグです」

当面の目標は、てんかんやパーキンソン病といった神経疾患を治療する脳内インプラントの開発となるようだ。しかし、究極的にはAIを脳に埋め込むことで人類の能力そのものを向上させるという構想があるという。2016年夏のカンファレンスにてマスク氏は、より高度な知能を持つ機械が発展する中で人類が淘汰されないために、AIを基盤にしたコンピューターとの融合が必要になるだろうと提案していた

それこそまさに、『ゴースト・イン・ザ・シェル』の原作『攻殻機動隊』で描かれている電脳化の先駆けといえる。同作が描く近未来の地球では、人類のほとんどが電脳と呼ばれるデヴァイスを頭蓋内に有しており、外部装置を介さずに直接インターネットの情報にアクセスできる。また、電脳同士を有線でリンクすることで瞬時に脳内の情報を他者と並列化することも可能。義体化という身体的なサイボーグ技術の普及も相まって、人間と機械の定義が曖昧になった世界だ。

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2017年2月にドバイで開かれた世界政府サミットでも、マスク氏は米誌『Vanity Fair』に対して、次のように語っている。「わたしたちはすでにサイボーグです。電話やコンピューターは、指の動きや発話といった(反応が)非常に遅いインターフェイスを介しているとはいえ、もはや人間の拡張機能というべきでしょう」

同氏が目指す人類の未来では、頭部に埋め込んだ神経デヴァイスを通じてデジタル化した脳内のデータを、外部記憶装置やクラウド上の仮想領域へ無線で伝達できるという。「部分的な脳インターフェイスがテクノロジーとしての意味をもち始めるのは、およそ4年から5年先の話でしょう」

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