米国本土で最も新しい「サンフランシスコ火山帯」、その奇妙な地形

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米アリゾナ州に、今も活動を続けているかもしれない火山帯がある。溶岩流が染め上げた赤茶色の峡谷、岩棚を流れ落ちるリトルコロラド川の水、7万年前のクレーター、「火のカーテン」の向こうに現れた丘──。ダイナミックな写真とともに見どころを紹介する。

TEXT BY ERIK KLEMETTI
TRANSLATION BY KAORI YONEI/GALILEO

WIRED(US)

San Francisco Volcanic Field

2009年にNASAの宇宙ステーションから撮影されたサンフランシスコ火山帯の様子。PHOTOGRAPH COURTESY OF NASA

米国本土で最も新しい火山活動が見られた場所が、アリゾナ州フラッグスタッフ近郊にある。同州の最高峰として知られるハンフリーズ・ピークを含む「サンフランシスコ火山帯」だ。大地は玄武岩や火山灰で覆われ、流紋岩の奇妙なドームなども見られる。

最後の活動はわずか1,000年前だ。それまでの600万年の間、600以上の火口で噴火が何度も起き、火山帯を形成した。噴火を目撃したと思われるネイティヴ・アメリカンが、地上に降り注いだ岩石で作り上げた芸術作品が残っている。

火山活動についての知識がある人は、「なぜアリゾナ州に?」と不思議に思ったかもしれない。火山のもとになるマグマ溜まりを作る、プレートの境界「沈み込み帯」がないからだ。決して火山活動が多い場所には見えない。

考えられることのひとつとして、アリゾナ州ではるか昔、地殻の伸長によって火山活動が起きた。サンフランシスコ火山帯もそのときに形成された可能性がある。しかし、それほど単純な話でもない。ここの玄武岩の組成はハワイの溶岩とよく似ている。つまり、噴火は地殻の伸長ではなく、地中のマントルの対流によって引き起こされたのかもしれないということだ。

玄武岩質のマグマが地殻を溶かして吹き出した証拠は、いくつも見つかっている。例えば、溶岩には「周囲の岩石」である捕獲岩が含まれている。地殻の試料からは、かんらん石と輝石の豊富な塊や、石灰岩の塊なども確認されている。前者はマントルの最下部、後者は地表近くから来たものと推測される。

ここで、サンフランシスコ火山帯の見どころを紹介したい。

グランドフォールズ

グランドフォールズ

メリアムクレーターとグランドフォールズ。PHOTOGRAPH COURTESY OF ALAMY

メリアムクレーターとグランドフォールズ

メリアムクレーターと周囲の火口が噴火したのは、2万年以内のこととみられる。溶岩流は10km以上離れたリトルコロラド川の峡谷まで達し、川をせき止めた。その範囲は15kmにわたる。さらに、グランドフォールズ峡谷からもあふれ出し、1kmほど流れた。結果として、リトルコロラド川は溶岩流を避けるように進路を変えた。噴火後、新たな流路が刻まれるまでは、一時的に湖を作っていたようだ。現在、川の流れは途切れ途切れになっている。深さ64mの峡谷に溶岩が流れ込み、さらに流れ続ける様子は、さぞかし壮観だったに違いない。

SPクレーター

SPクレーター

SPクレーター。PHOTOGRAPH COURTESY OF NASA

SPクレーター

サンフランシスコ火山帯の北部にあり、周囲にはいくつもの火口が海のように広がる。一帯では100万年前から火山活動が続いており、平均すると15,000年に1度のペースで噴火が起きている。1998年に発表されたミシガン大学の研究論文によれば、1000年以内に再び噴火の起きる確率は最大13パーセントという。

SPクレーターは70,000年前に形成されたと推測されており、周囲のクレーターで最も新しい「V4626」は、まだ10,000~16,000年ほどしか経過していない。「SPクレーター」の名前の由来を知りたいって? ある牧場主が1800年代後半、「shit pot」(寝室用便器/おまる)に似ていると思ったらしい。

サンセットクレーター

サンセットクレーター

サンセットクレーター。PHOTOGRAPH COURTESY OF UIG/GETTY IMAGES

サンセットクレーター

知られている限り、サンフランシスコ火山帯で最も新しいクレーターだ。噴火から1,000年ほどしか経っていない。最大の火口は直径10kmで、ほかの複数の噴火口と一体化し、サンセットクレーターになった。噴火の際は、まるで「火のカーテン」のようにあちこちから溶岩が噴出し、周囲に流れ出た。

クレーター形成後も噴火は続き、高さ300mの噴石丘がつくられた。大部分は「スコリア」と呼ばれる多孔質の火山噴出物でできている。壊れやすく、溶岩がしみ出ることがある。この噴石丘の下部からも2つの長い溶岩流が生じた。「ボニート」と「カナ」と名付けられ、それぞれ約2.5km、約9.5kmに達する。

噴火の当時、この地にはプエブロインディアンの祖先が暮らしていた。そう聞くと、命の危険にさらされたと思うかもしれない。しかし、それほど大きな被害はなかったようだ。大地がスコリアで覆われたため、人々は30km北へと移住したとみられる。これだけ離れれば、火山灰が降り注ぐ程度で済み、火山灰は作物の生育を助けてくれる。

一帯には、移住を示す考古学的な証拠も存在する。「コーンロック」と呼ばれる、トウモロコシの軸の跡だ。先住民たちがトウモロコシの実を食べ終え、捨てた跡とみられる。意図的に溶岩の中や近くに置いたらしい。

これから東側で噴火する可能性も

サンフランシスコ火山帯が、今も活動しているかどうかは分かっていない。だが次に噴火があるとしたら、火山帯の東側で起きる可能性が高い。もし現実になったとしても、サンセットクレーターのときのようになるだろう。つまり、壮大な景色を楽しめる程度で、命の危険にさらされることはないということだ。

サンフランシスコ火山帯には、興味深い場所はまだまだある。休暇を使って訪れてみたいという人は、ミシガン州エードリアン大学のサラ・ハンソンらによる現地調査の報告をみてみるといい。サンフランシスコ火山帯の驚異が地質学的、歴史学的な見地からまとめられている。

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