キーボード搭載で帰ってきたBlackBerryは、やっぱり「時代遅れ」だった

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BlackBerryに搭載されたハードウェアキーボードは、かつてヒップなものだった。しかし、いまやそれは時代遅れの代物だ。最新機種「BlackBerry KEYone」に対する、『WIRED』US版の少々辛口なレヴューをご紹介。

TEXT BY DAVID PIERCE

WIRED(US)

BlackBerry

PHOTOGRAPH COURTESY OF BLACKBERRY

10年ほど前、BlackBerryをもっていることほど凄いことはなかった。道を歩きながら両手で抱え、キーボードの上で親指を走らせてメールやメッセンジャーアプリの「BBM」を使い、文字を打つ。穴の空いたジーンズやペンキの染みが付いたTシャツを着ていても、BlackBerryをもっていれば、人からは特別な人間のように見られた。

いま、BlackBerryをもっているとどう思われるかご存知だろうか? 特に、最新モデルである「BlackBerry KEYone」をもっていたら?

その答えは「12年間、携帯電話を買っていない人と思われる」だ。

そもそも、BlackBerryはいまでも生産されているのだろうか。BlackBerryをもっているということは、いまでもAOLのメールアドレスを使っていて、MySpeceの「トップ8」コーナーを考えるのに時間をかけ、送信するメールの書き出しが「このメールを7人に転送しなければ、大切な人が死ぬだろう」から始まる──そんな可能性が高いということである。そればかりか、買う携帯電話を間違えた人とも思われてしまうのだ。

「ブラックベリー製」ではなくなった

詳しく説明する前に、BlackBerryというブランドの現在の状況を振り返っておこう。いまやブラックベリーという企業だけが「BlackBerry」という名の携帯電話を製造しているわけではない。KEYoneは、「TCL」ブランドで優れたテレビや洗濯機を製造している中国系企業がつくったものである。

TCLはBlackBerryブランドのライセンスを取得し、その独自ソフトウェアも使用している。OSにはAndroidを使用し、いくつかのアプリを追加し、設定を行い、デヴァイスのセキュリティを監視する。簡単に言うとKEYoneは、グーグルのOSを用いて、BBMなどを搭載した、TCL製のBlackBerryということだ。お分かりいただけたであろうか?

KEYoneがBlackBerryである根拠は、物理的なキーボードにある。4.5インチ画面の下に、4列のキーと、2006年から求められてきたボタンがすべて並べられている。これら35個のやや凸型のキーは使いやすさが重視されたもので、メールの受信箱や日計取引の履歴を整理するのに便利だ。普通に考えれば、これはとてもいいキーボードだろう。

ただ、物理的なキーボードであることが難点だ。どんなに昔を懐かしもうが、物理的なキーボードはもはや効率的ではない。タッチ式のキーボードの方がスピーディーかつ柔軟で、便利なのだから。自在にスワイプ入力ができ、文字を好みのサイズ・形状へと変えられ、言語も切り替えられる。しかも使わないときには表示されない。BlackBerryのほうが仕事をしている感じがするって? そんなのは気のせいだ。

もはや物理的なキーボードは必要ない時代に

奇妙に聞こえるかもしれないが、携帯電話のキーボードは昔よりも重要でなくなっている。2015年に行われた調査によると、携帯電話はただの入力デヴァイスではなくなっている。若者は銀行取引や仕事探し、スキル習得、道案内、ニュース閲覧などのためにデヴァイスを使用するようになったのだ。人々がやりとりする内容も文字からリンク、写真、動画、GIF、ミーム、スナップなどに変化している。

KEYoneのキーボードは無駄どころの騒ぎではない。このキーボードのせいで、携帯電話のほかの部分のデザインが制限されてしまうのだ(正当な理由もなく、ただキーボードのデザインが悪いというだけで!)。KEYoneの4.5インチ画面は小型長方形で、携帯電話が長くなりすぎないように設計されている。

そして、この携帯電話はキーボードを収めるために非常に幅広くつくられている。KEYoneの長さはSamsung Galaxy S8とほぼ同じだが、画面は1.3インチ小さくなっている。S8はキーボードがない分、そのスペースを活用できるだけでなく、映画やゲーム、ツイート、本、写真などで広く画面を使えるのだ。そして重くて巨大な携帯電話のように、動画周りに邪魔な黒いバーが存在したり、一度に2行しかツイートを表示できないこともない。

仮に指で押す物理的なキーボードが欲しかったとしても、KEYoneのキーボードが完璧なデザインだとは思えない。わたしがレヴューした端末は画面キーボードにも対応していたため、入力欄をタップすると1度に2つのキーボードが現れることになる。スペースバーが指紋認証やカメラのシャッターボタンにもなるのはよかったが、これをホームボタンとしても活用すべきだ。

それぞれのキーをショートカット(アプリを開く、友人に電話する、イベントの新規作成など)に割り当てられるが、普通に入力してそのまま検索できる機能が欲しくなってしまう。トラックパッドのようなものとして使用し、上下にスワイプしてウェブページやアプリをスクロールすることはできる。だが、それは画面でもできることだ。

スマホとしての出来はいい、だが…

BlackBerryが、いまの時代に「キーボード付き携帯電話」をつくったのは失敗だった。いまつくるべきは「機能的な携帯電話」である。

KEYoneは、キーボード以外は本当に何も問題がない。優れた箇所さえある。情報へのアクセスはしやすく、セキュリティは堅牢だ。そして本体の凹んだ柔らかい背面は手にフィットするし、ほかの多くの携帯電話のようなガラス製の脆いものではなく、頑丈な金属とゴムでつくられた外観は歓迎すべき仕上がりである。画面の解像度は1620x1080pxで明るく鮮明だが、ほかの高性能携帯電話のような目玉が飛び出そうな鮮やかさはない。

12メガピクセルのカメラも画質に問題はないが、iPhone 7やGalaxy S8ほど画質はよくない。Snapdragon 625のプロセッサーは速いが、ほかの電話ほどパフォーマンスは持続せずチップも新しくはない。バッテリーのもちがこの機種一番の長所だろう。ほぼ常に使用していたが、1回の充電で1日半使うことができた。

ここで伝えたいのは、KEYoneが粗悪な携帯電話であるということではない。ハードウェアキーボード付きの携帯電話が欲しいのであれば、ここ数年では最高のモデルである(ハードルを下げてはいるが)。要は、ハードウェアキーボード付きの携帯電話はいらないと言いたいのだ。

もっと言えば、携帯電話はVR(仮想現実)やAR(拡張現実)のためのツールだ。写真の撮影と共有、ヴィデオチャット、ゲームなど数多くの目的でつかう。入力欄ひとつとっても、絵文字やスタンプ、音声入力、GIFなど、QWERTY式のハードウェアキーボードでは使えないものがたくさん出てくる。

そして最も重要なのは、物理的なキーボードが進化していないことだ。入力スピードが速くなることもなければ、生産性が上がることもない。お洒落でもなければ、仕事が出来そうにも見えない。BlackBerryを懐かしむことは、MS-DOSやカセットテープを懐かしむようなものだ。90年代は楽しかった。だが、時代は変化している。新しいものと取り替えるときが来たのだ。

「BLACKBERRY KEYONE」の評価
4点/10点

【長所】
BlackBerryのOSによって作業が超効率化。
優れたセキュリティ機能と構成をもつデヴァイスだ。

【短所】
ハードウェアキーボードは時代遅れ。キーボードは不要。
キーボードを中心に携帯電話をデザインすると、ほかのすべてがダメになる。

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