独メーカーBragiの「イヤホン型コンピューター」という野望

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リアルタイム翻訳機能やジェスチャーインターフェイスまで搭載したワイヤレスイヤホン「Dash Pro」。開発したのは、イヤホン型コンピューターの完成を目指すドイツのハードウェアメーカーBragiだ。

TEXT BY DAVID PIERCE

WIRED(US)

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個人の耳にフィットするようつくられた「The Dash Pro」のカスタムフィット版。IMAGE COURTESY OF BRAGI

「AirPods」「Here Ones」「EarIn」「Skybuds」「IQBuds」「Kanoa」──そのほか、名前すら聞いたことのないようなイヤホン型製品が登場するずっと前から、Bragiは存在していた。

このドイツ企業は「The Dash」と呼ばれるヘッドフォンを開発し、2014年にKickstarterで大々的なプロモーションを実施した。このヘッドフォンの機能としてうたわれたのは、音楽の再生や健康状態の測定、うなずくだけのガジェット操作、環境音と音楽を同時に聴ける機能などである。

しかし、Bragiはこの機能をすべて実現することはできなかった。このため、このクールなイヤホン型コンピューターが忘れ去られてしまうのは、当然のことだった。「業界全体でみても、わたしたちたちは時代を先取りしていました。むしろ先取りしすぎたのではないかと、時々思うことがあります」と、同社のCEOニコライ・ヴィードは言う。

そして今年、彼らはKickstarter時代以来、初めてのイヤーコンピューターを発表した。329ドルの「The Dash Pro」は、同社の過去3年にわたる学びの集大成であり、ヘッドフォンの世界に革新をもたらすのだとヴィードは言う。

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通常モデルの「The Dash Pro」。IMAGE COURTESY OF BRAGI

Dash Proはスマホとのペアリングが簡単で、バッテリーの持続時間は5時間だ。収納ケースは持ち運びのバッテリーにもなる。音楽と周囲の環境音を同時に聴けるようになり、オーディオとしての音質、ノイズキャンセリング、音声入力などすべての性能が向上したと言う。

Dash Proには2つのモデルがある。機能的にはどちらも変わらないが、耳へのフィットの仕方が異なるのだ。499ドル払えば、聴覚障害者向け製品メーカーStarkeyのオーディオロジスト(聴覚測量技師)があなたの耳専用のバッドをつくってくれる。耳にしっかりとはまって遮音性が向上するので、周りの雑音がカットされ、より音楽に集中できる。また、音質が向上し、特に低音が改善される。これによってすべての人がDash Proの性能をより楽しむことができるが、聴覚に問題を抱えている人にとってはさらにいいだろう。

Dash ProはBragiの最新OS上で動作する。新しいOSには、翻訳アプリ「iTranslate」と連携したリアルタイム翻訳機能と、頭を動かすだけで音楽を操作することができるジェスチャーインターフェースが搭載されている。やり過ぎなようにも思えるが、手が塞がっているときにはやはり便利な機能だ。

つくりたいのはコンピューター

ヴィードが世に送り出した製品はすでに洗練されており、完成度も高い。だが彼は、再び先を走りたくてたまらないようである。彼はBragiのAIに関するプランについて熱心に話す。それは、同社のデヴァイスが集めたデータを使ってユーザーが何をしているのかを把握し、どうすればユーザーの役に立てるのか、イヤホン型コンピューター自らが認識する能力をより高めるというものである。

Dash Proは現在、網状のネットワークを形成しており、Dash同士や近くのデヴァイスとの通信を通して、プロセス処理やデータ保存能力を共有することができる。イヤフォンそのもので処理できるデータの量は限られているが、DashがAlexaに話しかけ「ユーザーがランニング中だからもっと大きな声で話すように」と指示することも、理論的には可能だ。

「日常生活でも十分に使われるようになると思っています」と、ヴィードは言う。彼は人々をタップやスワイプから解放し、ジェスチャーでデヴァイスを操作できるようにしたいのだ。彼らが開発中の製品「Patch」は小さなウェアラブルセンサーで出来ており、装着したままどこへでも行くことができる。「Dash Pro」と同じ網状ネットワークに接続し、データを集めることが可能だ。ヴィードの説明では、足に装着してランニングに関する情報を正確に追跡したり、玄関口まで来ただけで室内のスマートデヴァイスを作動させたりできるという。

ヘッドフォンメーカーがこのようなことを考えているのは、意外かもしれない。だがヴィードいわく、Baragiはヘッドフォンのメーカーではないという。彼が本当にしたいのは、コンピューターをつくることである。コンピューターが耳の中に入ることや、あるいはワイヤレスであることでさえ、彼にとっては二次的なものなのである。

「耳に入るコンピューターをつくる、ユーザーが誰で、何をどのような方法でしているのかを、すべて認識させることでした」と、ヴィードは言う。「わたしたちはイヤホン型コンピューターをつくているのであり、ワイヤレスヘッドフォンそのものをつくっているのではないのです」

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